アスリートから

トップ選手以外の選手に対してのケアが必要

田辺 陽子氏

1996年アトランタオリンピックが、私の現役最後の大会でした。当時は、試合が終わった後にしかドーピング検査は行なわれていませんでしたし、 身近にチームドクターがいたこともあり、それほど神経質になることはありませんでした。 ただ、海外遠征時には必ずしもチームドクターが帯同していたわけではなかったので、体調を崩したときは困ったこともありました。 選手団として薬は持っていくのですが、なかなか言いにくいところもあり、自分で市販の薬を持っていたこともあります。 いまの状況で考えると、とても危険な行動だったと思います。

現在は、国際大会など大会自体の数も以前に比べ多くなり、それに伴うドーピング検査も増えています。また抜き打ち検査も導入され、 ドーピング検査の対象になる選手の幅も広がりました。コンビニやインターネットなど、手軽に薬が手に入る環境もあり、 選手自身が注意しなければならない状況がますます増えています。

しかし、トップ選手に対しての情報はかなり手厚くできていますが、それ以外の中間層の選手に対するケアができていないのが実情です。 学校クラブなどで活躍する多くの選手へは、情報がほとんど行き届きません。

もし自宅や学校、合宿先などの身近にある薬局で、ドーピング防止に精通した人がいたら、相談できたら、適切な情報が得られたら・・・。 例えば、「整形外科を受診するならこの病院」と同じ感覚で「薬の相談ならこの薬局」という環境が理想的です。 顔を見て相談できることは、ものすごくメリットがあると思います。