アスリートから

選手の身近な相談相手になって、選手を守って欲しい

松田 丈志氏

現在では、体調を崩した時や薬を使用する場合には、どこにいても国立スポーツ科学センターのクリニックへ相談しています。 しかし、このような環境ができたのは最近の事で、数年前までは相談できる人がいなくとても大変でした。病院や薬局で 「ドーピング対象選手が使用可能な薬をお願いします」と相談しても、特に地方では100%理解されている方が少なく、 処方された薬を本当に飲んでいいのか不安になり、コーチや自分自身でインターネットなどで調べたり、薬を飲むのをやめた事もありました。

トップアスリートになると、自分の居場所情報を常に報告する義務があり、競泳の場合は、世界ランキング50位以内がその対象になります。 そして突然、 JADA、WADA、FINA(国際水泳連盟)の3つの機関のいずれから、所謂“抜き打ちドーピング検査”をされる事があります。 その場所に検査員が来られて、24時間以内にドーピング検査を行わないと、検査を拒否した事になりペナルティを課されます。 私は、高校3年生の時にその対象選手となりました。今はその制度にも慣れましたが、以前グアムの合宿中に1日早く帰った事があり、 ちょうどその日に検査員がグアムの合宿所に来られ、ペナルティを課せられた事があります。ペナルティが3つになると大会に出場できなくなります。

選手としては、“うっかりドーピング”などで、日々自分が努力してきた事が水の泡になるのが一番残念な事です。 薬剤師には、若い選手、地方にいる選手の身近な相談相手になって頂けたらと思います。 地元の薬局で「この薬はいい、これはダメ」とはっきり教えてもらえれば、体調を崩した時も安心して薬が飲めるようになります。 “うっかりドーピング”を犯さずにすむよう、ぜひ選手を守ってほしいと思います。